アイデアの出し方 その2

NO IMAGE

前回に引き続き、アイデアの出し方についてお話します。


その前回で「アイデアという言葉を使わないほうがいい・・・」とお話しましたが、ブログのタイトルを”アイデアの出し方”としてしまったので、ここではアイデアという言葉を使わせていただきます。
ちょっと矛盾を感じなくもないですが(汗)、そこは大目に見て頂くとしまして、でもこれからお話する手法は、ネットショップや一般企業様にとって自社の商品開発やサービス開発、WEBでの展開などに役立てて頂けると思います。

 

アイデアはマーケティングには不可欠なのですが、ではマーケティングとは?と言いますと、様々な意味や行為を含んでいますが、顧客の問題を解決したり、新たなモノやサービスを提供することなんです。なので、アイデアを出すということはそれらに取り組んでいく行為なのですが、コツは出来る限り単純でシンプルに考えること。
これから、アイデアを出す手法のひとつとして算数を使った方法を紹介していくのですが、1+1=2ぐらいの単純でシンプルに考えることが必要で、あれとこれを足した答えをさらに割って出てきた平均値に対して・・・というような、複雑でステップの多い考え方はダメです。たとえそれで何かのアイデアが生み出されたとしても、恐らくそんなアイデアは実用的ではないでしょう。

 

ということで、始めは算数の基本、足し算を使ったアイデアの出し方についてお話します。
足し算ですから、何かと何かを足してみる訳です。仮にA+B=アイデアとしましょう。Aは既存のサービスや商品から始めるのが始めやすくていいです。そこにBにあたる何かを足す訳ですが、ここは既成概念に捉われずに頭を柔らかくして考えます。


と、文章で書かれたものを読んでも、恐らくピンと来ないと思うので、ひとつ実例を出しますね。

 

その昔、すごーく美味しいってこともないスナック菓子に何かを足して販売するとバカ売れし、その何かが欲しくて本来の商品であるスナック菓子が食べられることなく捨てられるということまで全国で多発し社会現象にまでなりました。。。

そう、仮面ライダースナックやプロ野球スナックです。


もう30年以上前の商品なので知らない方もいらっしゃるでしょうから、説明しますと、仮面ライダーのキャラやプロ野球選手の写真カードが添付されたお菓子です。単純な足し算的発想が基本ですが、この手の手法は現在も多くの商品でみられますよね。

なーんだ、と思われるかも知れませんが、足し算は算数の基本。ワンセグ携帯だって足し算的な商品ですし、周りを見渡せばそんな足し算商品って沢山あるでしょ。

ついでに言うと、もし、複数の人数でアイデア出しをするのであれば、まずはこの足し算からアイデア出しをスタートさせてください。ルールや順序なしに各人がアイデアを出しだすと収拾が付かなくなることが多いですから。

 

では、次に引き算に行ってみます。


引き算なのでと単純にいってディスカウントって訳ではなく(まあ、ひとつのアイデアではありますが)さっきと同じように数式化すると、A-B=アイデアとなります。同様にAを既存のサービスや商品にあてはめると、Aが持っているものからBを引くことになります。


例えば、今、具だくさんなラー油が人気ですが、美味しいからって食べ過ぎると油の過剰摂取で健康にいいとは言えません。沢山食べていただいて無くなればリピートしていただけるのは売る側にとっては嬉しいことですが、結果、消費者の健康を害する可能性について、現代のマーケティングは無視する訳にはいきません。じゃあ、油を引き算すればいいんです。油分の無いラー油をラー油と呼べるかは別としまして、元商品の味わいをはずさなければ消費者は付いてくるでしょうし、まったくオイルフリーにするのが難しいなら、今は特保(特定保健用食品)の油を使ったバージョンも考えられます。
アイデア手法的には、商品の持つ問題点を見つけ、大胆にそれを引き算した訳です。

 

足し算と引き算の他にも、当然、掛け算と割り算を用いた手法もあるのですが、それはまた次回にお話しするとして、今回のおしまいに、足し算と引き算的発想の事例となる商品を紹介します。


それは、キリンの『休む日のAlc0.00%』という商品。

この商品以前にも、アルコール0%のビールテイスト商品はありましたが、どれも”ビールを飲みたいけど飲めない時の代用品”的な発想で、アルコール分を無くすという引き算はしたものの、商品PRもドライブの途中で飲めるという、なんだか消極的な感がありました。もちろん、飲酒運転は言語道断の違法行為なので、飲みたくても我慢しなければいけないという状況の解決案ではあるのですが、『休む日のAlc0.00%』は肝臓に良いとされる成分を足すことで、我慢ジャンルの商品から、健康のために飲むというポジティブな商品になっています。
つまり、引き算と足し算を同時にしたことで新たな市場を開拓しました。実際かなりの成功商品らしく、先日も当初予想の出荷ペースを大きく上回っているそうです。
私もこの商品を知った時は、「すげ?、賢い?」っと大いに感心しました。


プランナー:竹田